昭和歌謡シアター『終着駅』まとめ 全般編
・三夜連続にてまとめをお届けします。
なお明日は柴田あゆみ編です。
・ミュージカルの全体的な流れは、劇と劇の合間にショータイムという感じで前半が進み、後半は折々に回想を挟みながら進むという展開でした。
ショータイムの内容は以下の通り。
歌:『狙いうち』(天地みどり/柴田あゆみ)
『恋のフーガ』(天地みどり・ゆき/柴田あゆみ・前田有紀)
『街の灯り』『心もよう』(厳さん/高山厳)
『終着駅』(山根啓子/石原詢子)
漫才:ニレンジャー・ツインクル
漫談:堀枝伸二(大森ヒロシ)
マジック:Mr.イリュージョン/(たかはし等)
この他にマスター&スマイリー・ハナ(坂本あきら・市川勇)のコントがあったり、石原さんの歌シーン、柴田含むのダンスシーンもあるので、歌と笑いの比率が高かったと思います。
・そのため芝居/演劇というイメージは希薄で、どちらかというと寸劇を挟みながら、という雰囲気が強い内容でした。
演芸の公演などは例えば紙切/漫才/コント/大喜利/噺などを一度の公演で楽しめるようにしてあるわけですが、それに近いノリだったかと思います。
幕の内弁当的な公演として、しっかりまとまっていたのは良かったです。
一回見てしっかり楽しめる。
そういう作りでした。
今後回を重ねていきながら、軸のストーリーに合わせて比率を調整していく事になるんでしょうね。
・会場の新宿スペース107はいかにも小劇場という感じの場所で、平面に仮設イス(1−5列×16)+ひな壇(A−G列×13)という構造の場所でした。
ひな壇でも十分見えますし、仮設イスのエリアに行ってしまうと概して前の人を避けながら見なくてはいけないので、後ろの方が全体に良かったと思います。
ただしひな壇のイスがめちゃくちゃ固く、おいてある座布団を二つ折りにでもしないと耐えられないのはどうかと。
御年輩の方には大変だったのではないでしょうか。
また、この会場では基本的に歌以外全て生声で通しています。そのため、役者さんの存在感が大きく、ハロー関連ではなかなか味わえない空間になっていましたね。
・多くの出演者の方は役者さんだったんですが、この人達の演技や芸が無茶苦茶細かくて、見ていて引き込まれるものでした。
イリュージョン兄さん役のたかはしさんは本来役者さんなんですが、マジックが本職だと思われるぐらいだったとか。
アドリブやミスの拾い方、不慮の事故への対応なども達者にこなされていて、面白かったです。
・漫才コンビの二組は、ハッキリ言って事務所の差が出ちゃった気がします。
どちらがどうでどうだったのかは調べてみて下さい。
まあ何が言いたいのかというとニレンジャーがんがれ。超がんがれ。ってことです。
・あつこさんは正直出番は少なめ。見せ場は最初のダンスシーンぐらいで、本人が本気になってたのはおぼんをわざと落とすシーンだったとか。
ま、もっとも、コント的には見せ場多数、美味しい所にちゃっかり登場する役で、いかにも稲葉貴子らしい役所であったと思います。
あと、近くで見てると肩の筋肉がキレイでした。
・ゆきどんは歌謡ショーでの出番も含むせいか、あまり出番はなし。過去の回想で少し絡んでくるぐらいでした。
とはいえ、劇中でアカペラをやって見せたりというのは、ゆきどんならではだったのではないでしょうか?
もっとも別に朗々と歌い上げるわけでもなく、パンフレットを見てようやく何を歌っていたのか分かる程度なので、やはり扱いは今ひとつだった気がします。
ちなみに曲は『ウナセラディ東京』(ザ・ピーナッツ)です。
・オリジナル曲として、石原さんの歌う『夢がすみ』というつんく♂さん作詞の曲があるんですが、これを聞いているとやっぱりつんく♂さんはポップの書き手なんだなと再確認。
歌詞だから当然リズムは切るんですが、その切り方が他の演歌曲と明らかに違うんですよね。
個人的には節回し→ビブラートという流れで繋ぎ通すように出来ていないからなのかな、とか思いました。
・課題としては、中高年向けに絞りたいのか、世代間を超えたエンタテイメントにしたいのか、この辺が曖昧な所であることかと思います。
もっともまだ手探りでもあるようで、アンケートにも御年輩の方向けにチケット販売の希望などを問いかけるものがあったりという感じです。
コンセプトをハッキリさせて行けば、今後の公演も安定した客入りが見込めると思うので、しっかりと定めていって欲しいですね。
・僕個人としては後者を目指した方が市場全体の活性化や独自性が出てくると思うのですが。
そのためには、ハードルは今よりもっと高くなければいけない。
これから訪れる人々のためにも、スタッフさん・出演者共に、是非より高いところを目指してほしいなと思います。
・付記として、お芝居の終了後行われていた歌謡ショーのセットリストを。
1.西新宿で逢った人(前田有紀)
MC(前田有紀)
MC(高山厳)
2.伊根の舟歌(高山厳)
3.ふたり河(石原詢子)
MC(石原詢子)
4.夢がすみ(石原詢子)
・それでは最後になりますが、
劇団の皆様。
スタッフ・会場スタッフの皆様。
そして会場に足を運ばれた皆様。
一週間お疲れさまでした。素晴らしい舞台になったと思います。またどこかでお会い出来るのを楽しみにしております。
都合で行くことの出来なかった方はDVDの発売をお待ち下さい。