宮城谷昌光作品が好き

 夏姫春秋(上) (講談社文庫)
 この間先生の出世作である「夏姫春秋」を読了しました。
 元々宮城谷作品は大好きで、有名所は大体読んだつもりなのですが、先日「香乱記」を読んだときに久しぶりに寝るのを忘れて読み耽ってしまいました。
 という癖が抜けないまま読んだため、結構早々と読了してしまったように思います。まだ若き日の作品というのもあって試行錯誤のあとが見られますが、飲み込まれるような面白さでしたね。
 語りの面白さもさることながら、物語の構造がしっかりしているので、読んでて安心できます。
 ただ、題材の取り方がマイナーなのでオススメするのが憚られるのだけスゴイ痛いですね。
 有名な作品のほとんどは、中国の春秋・戦国時代の人物を書いた物です。
 なかなかこの時代に目を向ける人はいないと思うので、それだけに確かな地位を築いてらっしゃるのですが、オンリーワンであることとマイノリティになる危険は常に隣り合わせだと思ってしまいます。


 現在は「三国志」を書いてらっしゃるそうです。
 僕は三国志というとやはり吉川英治先生のものが思い浮かぶのですが、近年は従来からの横山光輝先生のマンガに加え、北方謙三先生の書かれたもので親しんでいる方も多いようです。
 新たな時代のスタンダードを目指して欲しいですね。
 で、中国史ヲタを増やすと。

 楽毅(一) (新潮文庫) 重耳(上) (講談社文庫)
 個人的なオススメは「楽毅」。一日でハードカバーを3冊読んだ記憶があります。
 戦国時代の名将・楽毅の生涯を描いた作品ですが、鮮やかなストーリー展開は今でもありありと思い返されます。無論歴史の裏打ちがあるにしても、傑作といってよいと思います。
 加えて「重耳」。先生の書いた物のほとんどは名将・名宰相などを描いた物なのですが、この作品だけは一国の君主となる流浪の王子・重耳(ちょうじ)を主役とし、その流離と復活、復讐と報恩を描いた作品です。
 時系列的に見ると、ちょうどこの作品と「管仲」あたりから春秋時代の物語となります。


 ですが、結局歴史小説は興味のある人物から読み始めるのが一番。
 というわけで、そんな話はまた次の機会に。